『ウミサトゥユ』の7つのこだわり(続き)

琉球舞踊 古典女七踊り写真集『ウミサトゥユ』の7つのこだわりをご紹介しています。今回は、その残り3つについて書きたいと思います。

・今を写し取るドキュメンタリーであり、私的な写真集でもある

それぞれの写真では、今の若手の方々がどのような着付けでどのように踊っているのか、といったものも残すことができます。それぞれの方々の今の一瞬を切り取った写真でもあり、そういった意味ではまさにドキュメンタリー写真です。

また、(カバーを取ると見ることができる)写真集本体の表紙と裏表紙には、踊りの世界に入っていく途中の一瞬を、半ば不意打ちで撮影した写真を掲載しました。撮影現場の流れの中で、その瞬間でしか撮れない写真となっています。

さらに、この写真集では、琉球舞踊のいわゆる大家の方々を撮影したわけではなく、私自身がそれぞれの踊りに合うと思われる方を独断で選び、自分のイメージを写真で具現化したという意味では、非常に個人的で私的な写真集でもあります。

日本だけでなく世界各地にはその地域にだけ伝わる踊りが存在しているはずです。それらを写真集に収めるということが世界中で広がっても面白いのではないか、と考えたりしています。

・さまざまな流派、会派

他の伝統芸能などと同様ですが、琉球舞踊にもさまざまな流派や会派があります。この写真集ではそれらを超えて、異なる流派・会派の方々に踊っていただいています。撮影するために具体的にその流派や会派を選んだわけではなく、たまたま自分とご縁のあった方々の中から選ばせていただいたため、特定の流派・会派に思い入れがあるというわけでもありません。

同じ踊りでも流派の違いにより2曲構成だったり3曲構成だったりするものもあります。または、それほどの大きな違いではなくても、細かな動きが違ったりもします。どの踊りの世界でもそうかもしれませんが、琉球舞踊にもそのような多様性があります。

・歌詞のみを掲載(歌詞の意味、現代語訳は付けていません)

各踊りの歌詞の具体的な意味を知りたいという方もいらっしゃると思いますが、歌詞の意味については、現代語訳をつけたり、どなたかが本などで書いていらっしゃる意味に統一するということは避けました。各踊りの歌詞の解釈については、大まかなところは一致したものがあると思いますので書籍やインターネットなどで検索していただければ分かるかと思います。または、漢字を使って歌詞を掲載していますので、そこから皆さん独自に意味を想像していただければよいのではないかと思います。

個人的には、踊りの解釈には幅があり、その人の人生の変化に伴って受け取り方が変わるのではないかと考えています。手元に置いて何度でも見ていただければと思っています。

0コメント

  • 1000 / 1000