『ウミサトゥユ』の7つのこだわり
琉球舞踊 古典女七踊り写真集『ウミサトゥユ』をまだ見ていない方や、とりあえず買ったりもらったりしたけどそのまま本棚に埋もれているという方々のために、琉球舞踊について、また、この写真集についてさらに愛着を持っていただけるよう、この写真集のこだわりについてここで7つ取り上げて書いてみたいと思います。
・古典女七踊りを撮影
撮影した7つの踊りはいずれも、琉球政府の踊奉行(おどりぶぎょう)、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)が作ったとされる踊り。踊奉行とは琉球政府の役職であり、中国からの冊封使を歓待するなどの式典で披露される琉球舞踊を監督する役割を担っていました。つまり、琉球舞踊 古典女七踊りは、琉球王国の時代から受け継がれたものであり、洗練された動き、抑制された感情表現、紅型、古典音楽など、琉球舞踊の美しさの粋が凝縮された踊りと言えます。もちろん琉球舞踊には、古典だけでなく他にも美しい踊りがたくさんありますが、写真集として発表するにはこの七題が良いのではないかと考え、撮影しました。
・沖縄の自然を背景に撮影
紅型は沖縄の自然に映えます。劇場などの屋内で見る琉球舞踊も良いのですが、沖縄には南国の美しい自然が広がっており、独特の建物も存在します。それらを写さない手はありません!
ただし、本物の紅型(染めるのではなく、プリントされているものはイミテーションとか、フェイクなどと呼ばれることもあります。それと対比するために「本物の紅型」と表記しています)を海風にさらしたり、直射日光に当てるのは紅型を劣化させるため、本来なら避けたいところです。今回は特別に、(すべての踊りではありませんが)本物の紅型を着て野外で踊っていただくことができました。
・季節と場所のこだわり
それぞれの踊りにふさわしいと思われる季節に合わせて、その踊りの内容に合うと思われる場所を選んで撮影しました。
扇を持って「手に慣れ親しんでいる扇はどのような暑さも紛らわし、涼しい便りとする」と歌いながら踊る『作田』は、やはり暑い夏に撮るべきでしょう。「白瀬走川に流れる桜の花を集めて、あの人に貫花としてかけてあげたい」という唄にのせて踊る『本貫花』は、春に撮りたい踊りです。
また、「天川の池で遊ぶおしどりの羽の契りを誰も知らない」という唄にのせて踊る『天川』には、背景に川か池が写っていると説得力が増します。そして、着物を織る綛を持って踊る『かせかけ』には、琉球の家が背景に写っていると自然な感じになるはずです。
そのようなこだわりで、季節と場所を選んで撮影しました。
・背景に近代的なものが写り込まないように
近代的なビルやマンション、電柱、建物内のスイッチや配電盤などが写ってしまっては、古典舞踊の雰囲気が損なわれてしまいます。少しでも琉球王国の時代が感じられるようにと気を使って撮影しました。
(今後は、あえて近代的なものを写し込んだ琉球舞踊の写真もアリかな、などと考えています。)
残り3つはまた次回。。
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